病気について

10歳の猫を飼っています。最近あまりにも水を頻繁に飲むようになったので、病院に行ったところ腎不全の疑いがあると言われました。腎不全とはどのような病気なのでしょうか?

腎不全の話をする前にまず、腎臓とはどんな働きをしているのか簡単に見てみましょう。
腎臓は、体内の代謝により生成された血液中の不要物(老廃物)をろ過して排出します。そして不要物だけれなく、余分な水分や塩分も尿中に排出し、体液の組織を常に一定に保つ役割を持っています。

では腎不全について見てみましょう。

腎不全とは前述のような腎臓の機能が衰え、体に必要な水分を再吸収する働きが弱まり、体の中の水分を捨て過ぎてしまって脱水症状を起こしたり、血液中に毒性のある不要物がたまって障害を起こしたりすることを言います。
この腎不全には急性と慢性があり、急性腎不全は慢性腎不全と違いそう頻繁に見られるものではなく、通常若い猫に見られます。細菌やウイルスあるいは毒物が原因となり迅速な治療が必要となります。
急性腎不全を発症した場合、あるデータでは60%近くが死んでしまい、命を取りとめても慢性腎不全に移行することが多いと言われるくらい怖い病気です。

今回のご質問の腎不全は慢性腎不全のことと思われますが、この慢性腎不全は、老齢猫(犬は猫ほどではありませんが、同じく加齢による腎不全は起こります。)に最もよく見られる病気です。

原因はなんでしょうか?

慢性腎不全の原因はまだよくわっていませんが、急性腎不全と同じように腎臓に障害をあたえるさまざまな原因が、長年にわたって少しずつ腎臓の組織を壊し、ある一定のレベルを超えると急速に腎不全が進行すると言われています。ではどういう症状がでるのでしょうか?
見た目はとても元気だけれども飲水量が増える、それにつれ排尿量が増える。そのうち嘔吐することが多くなる。口臭があり、口腔内に口内炎や潰瘍ができる。こういう症状があり、7、8歳以上の猫ちゃんであれば、要注意です。
早めにかかりつけの動物病院でご相談ください。

不幸にも慢性腎不全になってしまったら、どのように対処してあげれば良いでしょうか?

腎臓は残念ながら一度障害を受けて壊れてしまった部分は、元に戻りません。
そして壊れた部分が行っていた働きを、正常な部分が請け負うことになり、正常な部分の負担が増えてしまいます。ですから、腎不全の場合は正常な部分に負担をかけずにその機能を維持させることが大切です。

そのためには腎臓への負担を掛けない食生活(リンやたんぱく質は腎不全を悪化させると言われている。)が必要です。好きなものだけをあげていますと悪化の速度が速まります。さまざまな療法食も販売されていますので、かかりつけの病院でよくご相談なさってください。この他、気をつけることは新鮮な水を常に用意する、定期的に体重をはかるなど、日常の変化をよく観察してあげることが大切です。
あなたの細やかなケアで質の良い楽しい生活を守ってあげてください。